医療ダイエットが保険適用?適用条件と期待される効果・副作用について解説

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「医療ダイエットは医療保険適用なの?」
「保険適用になる条件や効果・副作用が気になる」
とお悩みではないですか。

食生活含むライフスタイルの変化から、増加傾向にある肥満。日本国内では、成人の4人に1人が肥満と推定されています。一昔前までは、肥満は自己責任ともいわれ治療法が確立されていませんでした。

しかし医療の進歩とともに、肥満に対する治療が必要とされ条件を満たす場合は保険適用となっています。ここで、誤解してはいけないのは肥満治療は目的ではなくあくまでも手段ということです。

本記事では、医療保険が適用になる肥満症の条件や治療に期待される効果について徹底解説します。さらに、肥満治療に用いられる治療の種類についても解説します。これから、イベントを控えている方や健康的な生活を取り戻したい方必見です。

本記事について
※治療法など医療機関で異なる場合があります
※肥満外来適用については受診される医療機関にお問い合わせください
※肥満外来は全ての医療機関が取り扱っている訳ではありません

目次

肥満外来とは

肥満外来とは、医療機関で専門家の指導を受け肥満を治療する外来です。医療ダイエットとは異なり、治療がメインになります。

たんに、体重を落とすだけでなく特定の疾患がある人や生活習慣病予防を目的としています。

【肥満外来と医療ダイエットの違い】
・肥満外来:治療目的/保険適用
・医療ダイエット:美容目的/自由診療

肥満外来で治療を受けられる人は、BMIの数値が平均より高いだけでは治療対象になりません。肥満外来では、BMI以外にも数種類の検査を行った結果で治療適用になるのか決まります。

また肥満外来では、一人一人の状態にあった治療を医療機関の医師が提案。肥満外来で行われる治療は、下記通り。

医師が提案した治療メニューで、無理なく肥満に対する治療が受けられるためリバウンドをしにくい点も魅力の1つです。

これまで、自己流ダイエットをしてもリバウンドを繰り返していた人は肥満外来での治療をおすすめします。

肥満外来適用基準

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BMI(㎏/㎡)判定WHO基準
<18.5低体重Underweight
18.5≤BMI<25.0普通体重Normal range
25.0≤BMI<30.0肥満(1度)Pre-obese
30.0≤BMI<35.0肥満(2度)Obese class Ⅰ
35.0≤BMI<40.0肥満(3度)Obese class Ⅱ
40.0≤BMI肥満(4度)Obese class Ⅲ
出典「厚生労働省e-ヘルスネット

ここでは、肥満外来での治療適用基準について解説します。前述で解説したように、BMIが平均値より高いだけでは肥満外来での治療は適用にならないケースがあります。

上記の表は、日本肥満学会が公開した肥満分類です。肥満外来で保険適用基準は、BMI25.0以上の肥満症またはBMI35以上の人が対象です。肥満外来の治療適用基準はBMI値だけではありません。

肥満に分類され、下記の疾患のある人は肥満外来の適用になります。

✔2型糖尿病
✔耐糖異常症
✔脂質異常症
✔高血圧
✔高尿酸血症、痛風
✔冠動脈疾患
✔脳梗塞
✔一過性脳虚血発作
✔非アルコール性脂肪性肝疾患
✔月経異常、女性不妊症
✔閉塞性睡眠時無呼吸症候群
✔肥満低換気症
✔変形性関節症(膝、股関節、手指関節)
✔変形性脊椎症
✔肥満関連腎臓疾患

本記事を読んでいる人の中には、BMI値が該当しないと感じている人もいるのではないでしょうか。BMI値が25.0未満でも、腹囲が女性は90㎝以上・男性は85㎝以上で下記3つのうち2つ以上が異常値であるとメタボリックシンドロームと診断さます。

  • 血清脂質
  • 血糖
  • 血圧

メタボリックシンドロームは、肥満症の1つですが内臓脂肪症候群とも呼ばれ通常の肥満症より注意が必要です。なぜなら、放置しておくと脳梗塞や心筋梗塞など動脈硬化性疾患を起こす可能性が高くなります。

そのため、早期に治療し内臓脂肪を減らす治療が重要です。BMIが基準値だからと安心するのではなく、健診で異常値があった場合は肥満治療について意識しておきましょう。

肥満症とは

肥満症とは、前述したようにBMI25.0以上で健康に危害を与える合併症がある場合や合併症になる可能性が高い状態のことです。

なかには肥満やメタボリックシンドロームを、肥満症と同じであるととらえている人がいるのではないでしょうか。

肥満症・BMI25.0以上
・BMI35.0以上の高度肥満
肥満による合併症が1つ以上ある
・健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある
肥満・BMI25.0以上
・BMI35.0以上(高度肥満)
メタボリックシンドローム・内情脂肪蓄積が過剰
・BMI25.0未満でも腹囲:男性85㎝以上女性90㎝以上かつ
 血圧、血糖、血清脂質のうち2つ以上が基準値より外れる
・心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる動脈性疾患を引き起こす可能性が高い
引用:一般社団法人 日本肥満学会「肥満と肥満症について

上記の表に、肥満症や肥満メタボリックシンドロームの違いについてまとめました。表を見てわかるように、肥満はBMIが基準より高く肥満による合併症がない状態です。

一方で、肥満症やメタボリックシンドロームは肥満による合併症があったり一定の検査項目で基準より外れた値になります。

ただの肥満だと過信せず、定期的な健康診断を受けるなど日ごろからの健康チェックを行うことが大切です。また肥満症やメタボリックシンドロームと診断された際は、自己流で解説するのは難しいといえます。

肥満外来を取り扱う医療機関へ相談するのも、1つの方法です。放置すると、命にかかわります。早期に治療を受けるように、心掛けておきましょう。

肥満症になりやすい人6つの特徴

ここからは、肥満症になりやすい人6つの特徴について解説します。1つでも当てはまる人は、今日から生活習慣を整えることをおすすめします。

  1. 食べるペースが速い
  2. 不規則な食生活
  3. 甘いものが好き
  4. 濃い味付けを好む
  5. 運動をしない
  6. 飲酒が好き

①食べるペースが速い

1つ目は、食べるペースが速い人です。人が食事で満腹感を感じる時間は、食事開始から約15分~20分とされています。そのため、食べるペースが速いと満腹感を感じる前に次々と食事をとってしまうのです。

早食いしないためには、1回の咀嚼回数(食べ物を嚙む回数)が30回ともいわれています。とはいえ、毎回1口を30回噛むのも簡単ではありません。

また職業柄、どうしても早食いしてしまう人もいるのではないでしょうか。早食いをしないための、ポイントを下記にまとめました。

早食いをする人の特徴改善点
咀嚼回数が少ない・咀嚼回数の目標を立てる(30回など)
・食べ物の形がなくなったら飲み込む
1口の量が多い・小さく分けて食べる
・小スプーンを使用する
・箸でとる量を少なくする
次々と口に食べ物を入れる・口の中の食べ物を飲み込んでから次の食べ物を口へ入れる
・一口ごとに、箸やスプーンを置く
→箸置きを使用する
出典「e-ヘルスネット

食べる速度に関しては、口腔内の健康も大切です。虫歯や歯が抜けて咀嚼自体に支障がある場合は歯科受診もあわせて検討しましょう。

ついつい早食いしてしまう

食べることが大好き!ダイエットと聞くだけでなんだかストレス

ダイエット中でも、ストレスなく食事ができたらとお考えの方も多いのではないでしょうか。通常のパンは、カロリーが気になるという方にもおすすめです。ふすま粉パンは、噛みしめるごとに美味しさも満足度もUPしますよ。

我慢ばかりのダイエットはもう時代遅れ!食へのストレスを少なくしながら、自分磨きを始めましょう。

②不規則な食生活

2つ目は、不規則な食生活です。とくに、仕事などで忙しい人は食事が不規則になる人もいるのではないでしょうか。

不規則な食生活にも、さまざまなタイプがあります。

タイプ理由
朝食を摂らない半日以上食事を摂らないと、
脳が飢餓状態に備える。
・食事をした時がチャンスと
言わんばかりにエネルギーを一気に吸収。
・結果、必要以上のエネルギーを
蓄えてしまう。
夜遅い時間の食事・食事を摂って眠ってしまうとエネルギー
消費ができません。
・使われないエネルギーは、脂肪へと
変わってしまいます。
食事の時間が不規則・一気に沢山の食事を、食べてしまう。
・食べ過ぎて、カロリーオーバーになる。
・沢山の食事を摂り、エネルギーが吸収
されやすくなる。

上記の表に、食事が不規則な人のタイプと肥満になりやすい理由をまとめました。

どのタイプに当てはまるのか、あなた自身の食生活を見直してみましょう。どれか一つでも当てはまる人は、生活習慣を整えることをおすすめします。

③甘いものが好き

3つ目は、甘いものが好きな人です。食事の間に、甘いお菓子を食べていませんか?チョコレートやケーキなどはカロリーが多くなります。

ここで大切なのは、食べないではなく以下のような食材に変えることです。

✔果物
✔ビターチョコレート
✔ナッツ
✔ヨーグルト など

ダイエットをしようと意気込んで食べないことを選択すると、ストレスとなり長続きしません。食べる食材の摂取エネルギーに注目してみましょう。

④濃い味付けを好む

4つ目は、濃い味付けが好きな人です。食事の味付けが濃いと、すすむのは白米やパン。美味しいですよね!しかし、白米やパンを必要以上に食べてしまうと、カロリーオーバーになります。

耳の痛い話と感じた人もいるのではないでしょうか。濃い味付けは、肥満につながるだけでなくあなたの健康そのものにも影響します。

日頃から濃い味付けを好む人は、本記事を機会に薄味へと変更してみてはいかがでしょうか。

⑤運動をしない

5つ目は、運動をしない人です。仕事が忙しい人やデスクワーク中心の仕事をしている人は、とくに運動不足に陥りやすいといえます。

運動ができないと、基礎代謝低下の原因になります。また運動すると、ストレス発散にもなりますので散歩など負担の少ない運動から始めてみましょう。続けると、習慣化し健康維持にも役立ちます。

ジムに通う時間がない

自宅で手軽に運動を始めたい

とお悩みの方には、自宅でも手軽に運動できる家庭用トランポリンを検討されてみてはいかがでしょうか。使わない時は、クッションとしても使えるためリビングにも設置可能です。気になる方は、チェックしてみてくださいね。

子どもさんとも運動ができますので、親子のコミュニケーションツールとしても活躍してくれますよ!

⑥飲酒が好き

6つ目は、お酒が好きでよく飲酒する人です。お酒には、糖質が含まれているため中性脂肪が増え肥満になりやすくなります。

また、アルコールを分解する際に中性脂肪がつくられるため悪循環です。おつまみ片手に、飲酒となるとさらにカロリー摂取している状況になります。

飲酒を突然やめてしまうと、ストレスに。飲酒量と日にちを決めるなど、少しずつアルコールを減らしていきましょう。

肥満外来で治療を受けるメリット

肥満外来で受ける治療は、誰にでも保険適用になる訳ではありません。

もう一度注意しておきたいのは、美容目的である場合は保険適用外という点です。ここからは、肥満外来で治療を受けるメリットについて解説します。

  1. 保険適用
  2. サポート体制
  3. 生活習慣予防

メリット①治療費がおさえられる:保険適用

1つ目のメリットは、保険適用になるため治療費が抑えられる点です。日本では2023年3月に、厚生労働省より持続性GLP-1受容体作動薬が承認され保険適用。

これまで、自由診療で行われていた肥満治療が保険適用となったことが話題になりました。とはいえ、自由診療で受けられるような医療ダイエットのメニューが全て受けられる訳ではありません。

肥満外来で受けられるメニューは、下記の通りです。

✔運動療法
✔食事療法
✔認知行動療法
→毎日の食事や体重測定など
✔薬物療法
→食欲をおさえる薬剤、脂肪吸収をおさえる薬剤
※医療機関により、メニューが異なる場合があります

肥満外来での費用は、保険の負担額で異なります。例えば10,000万円の場合、保険料負担量がが3割負担であれば3,000円です。

自費診療であれば、保険適用でないためメニューによっては5,000円以上するケースも。自分が肥満治療に適用されるかもしれないと感じている人は、肥満治療を取り扱う医療機関へ相談してみましょう。

メリット②ストレスの少ないダイエットができる:サポート体制

2つ目のメリットは、サポート体制が整っている点です。自己流ダイエットでは、1人でメニュー管理を行う必要があります。

始めた当初は順調に進んでいたはずが、時間がたつと孤独との戦いになりダイエットを中断するケースも。

肥満外来では、専門の知識を持った医師があなたに合ったメニューを提案するだけではありません。

医療機関が一丸となって、あなたをサポートします。また治療だけでなく、精神面でのサポートも同時に行う医療機関も多くあります。

メリット③身体が整う:生活習慣予防

3つ目のメリットは、生活習慣病予防といった点です。肥満外来では、肥満による生活習慣病予防や改善を目的としています。

薬物療法だけでなく、運動療法や食事療法などさまざまな角度から治療を行うため治療する前より身体が整うといってもいいでしょう。

肥満外来で治療を受けるデメリット

前述したように、肥満外来には沢山のメリットがあります。一方で、デメリットがあるのも事実です。

ここでは、肥満外来で治療を受ける際のデメリットについて解説します。肥満外来を受診する前に、デメリットも理解しておきましょう。

  1. 定期的な通院が必要
  2. 目的により保険適用できない

デメリット①定期的な通院が必要

1つ目のデメリットは、定期的な通院が必要な点です。インターネット環境が整った近年では、オンラインクリニックも増えてきました。

肥満外来では、運動指導や栄養指導などが必要とされるため定期的な通院が必要になります。仕事などで忙しく、定期的に時間の確保が難しい人にとっては難しいといえるでしょう。

しかし、肥満を改善するとあなた自身の健康維持ができるため近隣の肥満外来を前もって探しておくことをおすすめします。

デメリット②目的により保険適用できない

2つ目のデメリットは、目的により保険適用ができない点です。肥満外来は、美容目的のケースでは保険適用されません。

また美容目的でない場合でも厚生労働省が定めた基準を満たしていなければ同じです。基準については、前述の肥満外来適用基準で解説していますので参考にされてみてくだい。

肥満治療の種類

本記事を読みながら、肥満外来で治療を受けたいけれど治療内容が分からないと不安と感じていませんか。

ここからは、肥満治療3つの種類について解説していきます。

食生活を見直す:食事療法

1つ目は、肥満治療の基本治療である食事療法です。食事療法では、内臓脂肪を減らすサポートを行い健康障害を改善することとされています。

そのため、栄養バランスを考えた食事を摂る点が前提となります。下記の表は、名古屋市立大学病院肥満治療センターが公表している食事療法をもとにまとめたものです。

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BMI体重減量の目標食事療法の種類エネルギー量治療管理
25≦BMI<35現在の体重の3%エネルギー制限食目標体重(㎏)×25~30(㎉/㎏)/日外来
35≦BMI現在の体重の5%
※合併する健康障害に応じて目標を設定します
低エネルギー食目標体重(㎏)×20~25(㎉/㎏)/日以下外来
35≦BMI
または早急に減量が必要
現在の体重の5~10%
※合併する健康障害に応じて目標を設定します
超低エネルギー食
(フォミューラ食)
600㎉/日以下入院治療が望ましい
(出典:名古屋市立大学病院肥満症治療センター「食事療法」

肥満治療での減量目標は、3ヶ月~6ヶ月で現在の体重の3%以上とされています。また、1日の摂取するエネルギー量は25㎉×目標体重(㎏)以下です。

さらに当初の指示エネルギー量で減量が見られなくなった際には、低い摂取エネルギー量を再設定する必要があります。(参照:肥満症診療ガイドライン2022「第5章肥満症の治療と管理・2食事療法」P53

ただし、治療には個人差があるためあなたに合わせた治療メニューが提案されます。食事治療の目標は体重減少ですが、あくまでも治療の手段です。

【フォミューラ食】
糖質と脂質が少なく、タンパク質や必要なビタミンなどの栄養素が含まれた治療食です。
置き換えダイエットなどに用いられる液状の食事というとイメージです。
※保険適用の有無については受診する医療機関へご確認ください

食事療法は、普段の食生活を見直す機会となります。治療が終了した後も、正しい食生活を継続できるようにしましょう。

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ストレス発散できる:運動療法

2つ目は、ストレス発散ができる運動療法です。肥満外来の治療で基本は、運動療法と前述した食事療法になります。運動療法は、心疾患を予防するサポート(参照:肥満症診療ガイドライン2022「第5章肥満症の治療と管理・3運動療法」P58)となるだけではなくストレス発散に繋がります。

本記事を読みながら、運動は苦手だと感じる人もいるのではないでしょうか。とくに、普段から運動する習慣のない人が激しい運動をしようとすると継続できません。大切なのは、徐々に運動量を増やしていくことです。

【注意】
肥満外来で治療を受ける人の中には、疾患により医師から運動制限を受けている人がいます。
むやみに運動を取り入れるのではなく、必要に応じて医師の指示に従いましょう。

運動量の目標は、摂取エネルギーよりもエネルギーを燃やす運動を継続すること。

有酸素運動である、ジョギングや水泳・ウォーキングなど取り入れていきましょう。

日々の行動日記:行動療法

行動療法を併用することで、減量した体重維持に一定の効果が期待できるとされています。(参照:肥満症診療ガイドライン2022「第5章肥満症の治療と管理・3運動療法」P63

行動療法で用いられる主な方法は、下記の4つです。

主な方法目的
食行動質問票・食習慣の把握
本人が認識していない食習慣の問題点を見つける
グラフ化体重日記・体重の視覚化
体重を視覚化すると減量効果が期待できる
グラフ化生活日記・生活リズム異常の把握
生活活動を具体的に把握する
咀嚼法・早食いや荒噛みの把握
早食いや荒嚙みを修正することで食事量の減少や脂肪分解が期待できる
参照:肥満症診療ガイドライン2022「第5章肥満症の治療と管理・3運動療法」P64~69

本記事を読みながら、面倒そうだなと感じる人もいるのではないでしょうか。肥満治療は、医師の力だけでは進みません。

あなた自身が日々の行動などを記録することで、治療がスムーズに進みます。医療機関とあなたが協力し合って肥満治療と向き合いましょう。

薬剤の力をかりる:薬物療法

3つ目は、薬剤の力をかりる薬物療法です。薬物療法は、二次肥満でないことや肥満外来の治療で食事療法や運動療法を一定期間3ヶ月~6ヶ月行い0.5㎏~1㎏/1ヶ月の効果が見られない場合にのみ対象となります。(参照:肥満症診療ガイドライン2022「第5章肥満症の治療と管理・5薬物療法」P69

【二次肥満】
内分泌肥満や薬剤による副作用、遺伝性の病気に対して起こる肥満のこと。

肥満外来の治療が保険適用となったことで、治療に用いられる薬剤が増えてきました。下記のボックスに、肥満外来の治療で処方される治療薬をまとめました。

薬剤の詳細については、後述の正しく知ると怖くない!肥満治療薬の副作用で解説します。

✔GLP-1受動態作動薬
✔食欲抑制剤
✔漢方薬

処方薬の中には、大学病院など厚生労働省が定めたガイドラインを満たす医療機関でのみ処方が許可されている薬剤があります。

そのため主治医と相談しながら進める必要があります。(参照:最適使用推進ガイドラインセマグルチド(遺伝子組換え)厚生労働省令和5年11月

胃を小さくする:外科療法

手術により胃を小さくすることで、体重減少と2型糖尿病に効果が期待できるとされています。国内における保険適用外科療法は、2014年4月より保険適用となり腹腔鏡下スリープ状胃切除術のみ。

しかし、2024年6月より腹腔鏡下スリープ・バイパス術も保険適用になりました。外科療法には、適応基準があるため医師と相談しながら進めましょう。

【外科療法適応基準】
BMI:35以上
・18歳~65歳までの原発性肥満で6ヶ月以上の内科的治療を継続して受けている
・脂質異常、高血圧、糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎含む非アルコール性脂肪性肝疾患や閉塞性睡眠時無呼吸症候群の中の1つ以上を合併している
BMI:32~34.9
・18歳~65歳までで6ヶ月以上の内科的治療を継続して受けている
・脂質異常、高血圧、糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎含む非アルコール性脂肪性肝疾患や閉塞性睡眠時無呼吸症候群の中の2つ以上を合併している
※いずれも、治療しているが健康障害の改善が見られない高度肥満が対象です。

また、どこの医療機関でも外科療法が受けられるわけではありません。まずは、医療機関に受診しあなたに合った治療方針を決めることが大切です。

正しく知ると怖くない!肥満治療薬の副作用

肥満外来の治療では、前述した食事療法や運動療法で一定の期待される効果が見られなかった場合に薬剤による治療が行われます。

内服薬となると、副作用が不安になる人も多いのではないでしょうか。下記の表に、肥満外来の治療で処方される薬剤の種類と期待される効果・副作用をまとめました。

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薬剤名系統期待される効果副作用
サノレックス
(マジンドール)
食欲抑制剤・食欲を抑制し体重を
 減らすサポート
・便秘
・口渇感
・依存性
・悪心、嘔吐
・胃部不快感 など
ウゴービ皮下注
※厚生労働省が定めたガイドラインを満たす医療機関でのみ処方
GLP-1受動態作動薬・食欲を抑制して胃など腸管の運動を遅くする
サポート
・便秘
・下痢
・悪心、嘔吐
・低血糖 など
防風通聖散
(ぼうふうつうしょうさん)
漢方薬・脂肪を燃えやすくし、体重を減らすサポート
・便秘改善のサポート
・腹痛
・下痢
・胃部不快感
・発疹、かゆみ など
防己黄耆湯
(ぼういおうぎとう)
漢方薬・体の余分な水分を排出し体重を減らすサポート・胃部不快感
・食欲不振
・発疹、かゆみ など
大柴胡湯
(だいさいことう)
漢方薬・脂肪を燃えやすくして、体重を減らすサポート
・便秘を改善するサポート
・腹痛
・下痢
・発疹、かゆみ など

肥満の治療は、体重を減らすだけが目的ではありません。肥満によって引き起こされる疾患を防ぐサポートが、第一です。

副作用のない薬剤はないともいわれていますが、正しく理解しておくことで体調に変化が起こった際に慌てることなく対応ができます。薬剤治療を受け、副作用と思われる症状が現れた際は、速やかに主治医へ相談しましょう。

肥満外来でダイエットする人必見!5つのQ&A

最後に質問に答えていきます。

肥満外来はオンライン診療が受けられる?

医療保険が適用される肥満外来治療は、2024年9月時点でオンライン診療受けられません。

【理由】
定期的な受診での、体重や健康管理・指導などが必要なため。

オンライン診療が受けれれる肥満外来は、自費のみとなります。どうしても、定期的な通院が難しい人は、自費での肥満外来を検討するのも一つの方法です。

ただし、定期受診において受けられるようなサポートが受けられない可能性があることを忘れないようにしましょう。

ウゴービ皮下注の保険適用価格は?

ここでは、GLP1受動態作動薬であるウゴービの保険適用価格(3割負担を想定)は下記の通りです。

ウゴービ皮下注2.4㎎/1ヶ月:10,740円×4回(1回/週投薬)×3割=12,890円

ウゴービ皮下注は、肥満の程度により処方される用量が異なります。下記の表に、用量と価格をまとめました。

ウゴービ皮下注の用量薬価/キット
0.25㎎1,876円
0.5㎎3,201円
1.0㎎5,912円
1.7㎎7,903円
2.4㎎10,740円

肥満外来ではなにをする?

肥満外来で行う検査を下記にまとめました。

✔身長・体重測定
→BMIを測定
✔体成分測定
→BMIとあわせて体系を評価
✔血液検査
→糖尿病や脂質異常などの有無 など

上記以外にも、自身で体重や食事を日記のように記録する必要があります。また受診する医療機関によって、検査メニューが異なるケースがあるため確認しておくとよいでしょう。

検査は、治療で期待される効果の確認や治療内容に反映するため定期的に受ける必要があります。

肥満治療の入院は何キロから?

体格は個人差があるため、一概に体重だけでは判断できません。肥満治療で入院治療が望ましいとされるBMIは、35≦BMIまたは早急に減量が必要と診断された場合です。

ダイエットが期待できる効果の薬ランキングは?

ダイエットが期待できる効果の薬剤ランキングはありません。一人ひとりの肥満の重度や疾患により医師が治療を提案します。

また、薬剤で期待される効果も個人で異なることを覚えておきましょう。

肥満症に悩む人は肥満外来の基準と治療法をチェック!

本記事では、保険が適用される肥満外来治療について解説してきました。肥満外来治療を受けられる基準は、決まっており誰でも簡単に保険適用するわけではありません。

大切なのは、肥満症におちいらないように日常生活を見直すこと。また、自己流のダイエットは危険です。必ず専門医などからアドバイスを受けるようにしましょう。

インターネット環境が整った現在では、自費で受けられるオンラインクリニックによる医療ダイエットや運動ができるジムも多くあります。あなた自身の健康はもちろん、入学卒業シーズンに向けて一歩踏み出してはいかがでしょうか。

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